注文住宅を建てるなら平屋?それとも2階建て?
2021.10.21
#家づくりノウハウ
注文住宅の購入・建築を考えているけど、平屋にするか2階建てにするか悩む方もいるのではないでしょうか。平屋、2階建てそれぞれにはメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言い切れません。そこで、平屋と2階建てのメリット・デメリットを理解した上で自分たちの注文住宅は「平屋にしよう」「2階建てにしよう」と決めてもらえたらと思います。ということで、平屋と2階建てのメリット・デメリットをご紹介します。
平屋のメリット
①自由度が高い
平屋は上部に居住スペースが存在しないため、荷重を支える柱の数が少なく済みます。柱の数が少なければ間取りの自由度が高くなり、理想通りの住宅を実現しやすくなるでしょう。
大広間など大きな空間を持つ部屋も作りやすいため、大人数が集まる場としても最適と言えます。屋根裏収納やロフトなど、上部のスペースが必要な設計も可能です。
②構造が安定しやすい
日本では台風や地震の被害が多いため、注文住宅も災害に耐えられる建物を設計する必要があります。災害時により安心できる注文住宅を求めている方にとって、構造が安定しやすい平屋は最適な注文住宅です。家は縦に長くなるほど、台風の風や地震の揺れの影響を受けやすくなります。昔ながらの平屋は、耐震性が高い家の形と言えるでしょう。
③バリアフリーが実現できる
最適な住宅構造は、住む人の年齢によって変化します。若い時には魅力を感じていた2階建て住宅も、高齢になると階段の上り下りが辛くなるでしょう。その点、平屋はバリアフリー住宅として最適な構造です。上下の移動がないフラットな動線は、移動に要する労力を格段に抑えられます。段差をなくすことで、高齢者でもスムーズに歩けるでしょう。
さらに、フラットな動線は掃除や洗濯がしやすく、若い夫婦にもメリットがあります。
④修繕費用が抑えられる
注文住宅にかかる費用は、購入時だけとは限りません。修理やメンテナンス、さらにリフォームなどさまざまな場面で修繕費用が必要となります。平屋は2階建てと比較して、維持にかかるランニングコストを抑制することが可能です。
例えば、2階建て住宅で2階にトイレや浴室を設置した場合、排水管のつまりや水漏れにより、下の階にもダメージを与える可能性があります。一方で、平屋は1階しかないため、他階へダメージを与えることがなく、該当の場所の修繕だけで済みます。
さらに平屋は、外壁の塗装や屋根の修繕を行う際も大掛かりな足場を組む必要がありません。将来の住宅リフォーム費用も、大幅に抑えられるでしょう。
⑤コミュニケーションが取りやすくなる
家族で暮らす住居は大切なコミュニケーションの場でもあります。常にお互いの様子を確認することで、家族の繋がりを意識できるでしょう。平屋はワンフロアとなるため、生活する中で自然に家族同士の顔を見合わせる機会が増えます。常に家族との繋がりを感じていたい方にとって、平屋はメリットを強く感じられるでしょう。
平屋のデメリット
①広大な敷地が必要となる
平屋は、すべての部屋を1階に作ります。子ども部屋・和室・書斎など希望の部屋が多ければ多いほど、広大な敷地が必要となるでしょう。田舎の土地がある地域であれば広大な敷地を確保しやすいものの、都会では必要な敷地を確保することが困難なケースも多くあります。さらに土地は各市町村によって、敷地面積のうち建築面積の割合を表す建ぺい率が設定されています。建築プランを立てる際は、建ぺい率に考慮する必要があることを必ず覚えておきましょう。
②防犯面は注意が必要となる
平屋は1階部分に部屋が集約されるため、空き巣が狙う出入り口も多くなります。そのため、2階建てと比較して、特に防犯面で注意が必要です。大きな窓は空き巣にとって壊しやすいため、二重ガラスや窓フィルムが有効的です。さらに、人感センサーや防犯カメラの設置も防犯に役立ちます。また、敷地に砂利を設置するアイデアも、防犯と景観の両方に効果的です。
③日当たりが確保しづらくなる
平屋は建物面積が広くなると、中心部に日が当たらない場所が出てくる可能性もあります。
部屋の場所によっては日当たりを確保しづらく、採光には工夫が必要です。採光面を増やすためには、間取りをコの字型や口の字型にして中庭を設けたり、天窓を設置することで解消されます。しかし、このような方法は建築費が高くなりやすいため、コスト面との兼ね合いが必要になります。
2階建てのメリット
①間取りの多様性
2階建てでは1階と2階の空間が分かれることで、さまざまなパターンの間取りを検討することができます。たとえば周辺状況によっては、2階にLDKを設けることにより、1階よりも日当りや見晴らしもよく、開放的な空間を演出することも可能です。ほかにもバルコニーの設置や子供用のプールなど、1階よりも高い位置にあるからこそ、プライベートがより確保された空間を楽しむことができます。
②敷地の有効活用
所有の土地面積や購入価格によっては、大きな土地を用意することができない場合もあります。その際は、インナーガレージを設けて家の1階部分に車を入れることで、駐車スペースを確保しながら2階に居住スペースを確保することが可能です。「大きな庭が欲しい」「車は最低3台駐車したい」など、各家庭でニーズはさまざまです。そういった希望により、平屋だと居室面積が思い通り取れない場合は、2階建てに変更すれば、ワンフロアに収まらなかった間取りを2階に確保できます。1階部分にすべてを配置する平屋に比べ、2階建ては垂直方向の空間を使用することにより、狭い土地でも居室を確保できたり、敷地周辺の住環境に合わせてどのフロアにLDKや個室を配置するかなど、可能性を広げることができます。
③プライバシーの確保
2階建ては平屋よりも外部からの目線の位置が高いので、プライバシーを確保しやすいのが特徴です。家族内でも、上下で階段を隔てて空間を分けることができるため、家族全員やお客様が利用するリビング・水廻りは1階、プライベート空間の寝室は2階などにすることで、プライバシーを守ることができます。
④建築費用
一般的に平屋と比較すると、2階建ての方が価格のメリットが大きくなります。
例えば、同じ40坪の家を二階建てで建てる場合と平屋で建てる場合を比較すると、平屋は二階建ての2倍の基礎や屋根の面積が必要となります。
その分建築費用にも反映され、一般的には平屋は建築費が高くなる場合が多いのです。
⑤固定資産税
注文住宅を購入する際には、土地と家に課せられる税として「固定資産税」と「都市計画税」の二種類の税金がかかります。平屋と2階建てでは、資産の価値に合わせて固定資産税が変わります。同じ延べ床面積かつ、同じ仕様という条件下で比べると、平屋のほうが屋根や壁などに多くの資材を使用するため、資産価値が高いと見なされて固定資産税が高くなる傾向にあります。
2階建てのデメリット
①将来的な生活への対応
平屋とは反対に、階段を上り下りするという動作は必須です。購入時の年齢ではなんの問題もなかった階段の上下が、年齢を重ねるにつれ辛くなっていきます。長い目でみると、年齢を重ねてからどうするかを入念に考えておく必要があります。和室を将来の寝室として利用したり、寝室を1階に配置したりすることが有効的です。
②上下階の音
生活音は自宅内での出来事なので、そんなに問題ではないと感じられる方もいらっしゃると思います。ですが、夫婦や子供と家族が毎日過ごすうえで、来客中に2階で子供の遊ぶ足音が聞こえたり、家族の起床時間が異なったりすると少なからず影響してくるものです。
③掃除の手間
二階建ては間取りが複雑なことが多く、階段もあるため、平屋に比べて手間がかかり、掃除が大変になりがちです。重いものを2階まで持って上がる手間や、階段を1段1段掃除するのも一苦労です。高齢になるにつれて階段を上る負担も大きくなるため、老後ライフや家事動線に配慮が必要となってきます。
まとめ
平屋、2階建てそれぞれにはメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言い切れません。最初から「絶対に平屋」「2階建てがベスト」などと決めず、まずは幅広く情報に触れてみるのが良いでしょう。そのうえで、どちらが自分たちの生活スタイルに合っているのか比較して考えてください。何を優先し、何を大事にしたいのかをじっくり考えて「自分なりの正解」を見つけましょう。